日野百草

「欧米も日本も、世界の多くがロシアに対して制裁を実施しましたが、商売的には損を覚悟の正義です。ロシアの資源を中心に欧米はロシア経済に依存していた。それをごっそり中国が手に入れる、実際、中国系商社はEU諸国が手を引いた分野で活発に取り引きしています」  日本が中国に貿易戦争で負け続け、いわゆる「買い負け」を繰り返して久しいが、中国は世界中の資源を、食料を買い漁っている。主要穀物の大半は、まず中国との交渉になっている。理由は簡単で金だ。高く買ってくれる国に売る、高く買うほうが「買い勝つ」、ごくシンプルな貿易戦争の構図である。  。。。資源がないために苦しんできた日本、金がなければ誰も救けてくれないかもしれないし、先の大戦で大いに味わった禍根でもある。まして地震などの自然災害も頻繁で、火力発電所の一部停止を理由に3月22日に東京電力として初の「電力逼迫警報」を発令した。資源を他人頼みの日本のエネルギー政策など砂上の楼閣である。実際の戦争と同様に、経済もまた戦争である。筆者も友人のいるウクライナの勝利を願うが、日本が経済的に負けては話にならない。 「資源のある国や食料自給率の高い国はいいんですよ、しばらくは自国でなんとかできる。ロシアだって旧ソ連時代レベルの経済に戻ったって天然資源も食料もあります。国民も貧乏に慣れてるでしょうし。でも日本はあんな制裁を受けたら一瞬で崩壊するでしょうね」  日本のエネルギーに対する対外依存は戦前とほぼ変わらない。むしろあの当時以上にエネルギー資源を常に確保しなければ日本そのものが終わるほどに、国民生活も含め対外依存は大きくなっている。食料などまさにそれで。 「そうですね。私は食料が専門ですが、たとえば中国はとくに牛肉と小麦が欲しい。以前牛肉の話はしたと思いますが、どんだけ小麦が欲しいんだってくらい、これまでも買い漁ってましたからね」  。。。まさに世界食料争奪戦、戦争の裏で戦争をしている。国際経済は究極のリアリズムだ。そして日本は小国ウクライナが大国ロシアと戦争しているのと同様に、いやそれ以上の超大国、中国とその戦争を経済でしている。激安賛美、客の神格化、円安政策が中国につけこまれている。経済戦争の敗北は後から気づくもの、負ける過程では気づきづらいだけに恐ろしい。